T様のお兄様が亡くなられました。お兄様は生涯独身でしたので、相続人はT様を含む兄弟達です。また兄弟の中には既になくなった方もおり、代襲相続が発生しているため相続人を確定するのは結構大変そうです。お兄様は借家住まいだったので相続財産に不動産はありません。ところがなぜか預貯金を開設した金融機関が大変多く、相続人を確定してからの手続きもさらに大変そうで、T様ご自身で手続きをなさることを断念されたそうです。
この様な場合にまさに打って付けの手続きが「法定相続情報証明制度」の利用です。この制度は相続発生時点の相続人が誰であったかを法務局が確認し、「法定相続情報一覧図」という法務局の認証文が付された証明書にして発行してくれるものです。従来の相続手続きでは必要な戸籍を手続に必要な件数分取得するか、一件ずつ根気よく手続してゆくしかありませんでした。前者は費用負担が大きく後者は大変な時間を費やす覚悟が必要でした。また、相続手続きに不動産登記が含まれていない場合、司法書士が戸籍収集のお手伝をすることは難しかったのですが、この制度を利用する目的であれば戸籍収集のお手伝いが可能となりました。必要な戸籍をワンセット用意できれば、あとは「法定相続情報一覧図」を必要な数だけ発行してもらえばよいので、複数の金融機関の相続手続きをいっぺんに済ますことができるわけです。
T様のお兄様の相続人確定の手続きは少々時間がかかりましたが、「法定相続情報一覧図」を発行してもらったあとは一日に回れる限りの金融機関を回り、あっという間に手続きを完了することができました。